AIに頼んでみたものの、返ってきた文章が思っていたものと違うことはありませんか。
プロンプトは、AIにしてほしいことを伝える文章です。
うまくいかないときは、難しい言葉を足すより、どこが違うのかを確かめてから依頼を直すと、次に試すことが見えてきます。
この記事では、架空の会話例を使って、回答のずれの見つけ方から、修正の頼み方、使える依頼を残す方法まで紹介します。
まずは、何がずれたのかを見つける
AIの回答に違和感があっても、すぐに依頼文を書き直そうとすると、どこを変えればよいか迷いがちです。
最初に、使いたい場面と、回答の具体的な一部分を並べてみましょう。
読み手の行動が変わっていないか
地域の清掃活動について、参加者に短い案内を送る場面を考えます。
主催者が持っているメモは次の内容です。
清掃は土曜日の午前10時から公園で行う。 参加は自由で、事前申し込みは不要。 軍手は主催者が用意する。
このメモには曜日と時刻はありますが、具体的な日付や公園の名前はありません。
実際に初参加の人に送るなら、開催日と公園の正式な場所を主催者に確認してから追記します。
ここでは、回答がメモの内容をどう扱ったかに絞って見ていきます。
このメモをAIに渡し、次のように頼んだとします。
このメモを、参加者に送る短い案内にしてください。
以下は説明のために作った回答例で、AIによる実測結果ではありません。
土曜日の午前10時から公園で清掃を行います。参加者は必ずお越しください。軍手はこちらで用意します。
この文章は短くまとまっていますが、メモでは自由だった参加が、回答では義務のように読めます。
読み手に求める行動が変わるずれなので、文章の好みを調整する前に直したい箇所です。
また、申し込み不要という情報も抜けていますが、この案内に残す必要があるかは、送る目的に照らして判断します。
今回は、初めて案内を読む人が参加方法を判断できるように、申し込み不要も残すことにします。
直したい部分と、残したい部分を一緒に伝える
先ほどの会話を続けるなら、次のように修正を頼めます。
参加は必須ではなく自由です。 義務のように読める表現を直し、事前申し込みが不要であることも入れてください。 日時、場所、軍手の情報は残して、短い案内にしてください。
教材として用意した修正後の例は次のとおりです。
土曜日の午前10時から公園で清掃を行います。参加は自由で、事前申し込みは不要です。軍手は主催者が用意します。
元のメモと比べると、参加の扱いを直しながら、日時・場所・軍手の情報も残せています。
この例は修正方法を説明するための教材であり、同じ依頼から必ず同じ回答が返るという意味ではありません。
修正後も、元の資料に戻って内容を確認することが必要です。
ずれの種類を分ける
清掃案内では、参加の扱いと情報の抜けを確認しました。
ほかの依頼では、内容は正しくても、長さや読み手に合わないことがあります。
- 事実:元の資料と食い違っていないか。
- 抜け:読み手の判断に必要な情報が残っているか。
- 形:文章、箇条書き、表など、使う場所に合っているか。
- 対象:誰が何のために読むのかに合っているか。
全部を一度に直す必要はありません。
まずはその回答を使ううえで困る点から直し、残りも順に確認すると、修正の目的がはっきりします。
別の作業でも、資料と回答を見比べる
案内文だけでなく、仕事の引き継ぎメモを整理するときも、まずは元の情報と回答の違いを確認できます。
以下は、発送の作業を次の担当者に伝えるための架空のメモです。
梱包は完了。 送り状は作成済み。 集荷はまだ依頼していない。
担当者は、このメモをAIに渡し、引き継ぎ用に状況をまとめてほしいと依頼したとします。
次のメモから、発送準備の状況を引き継ぎ用にまとめてください。
梱包は完了。送り状は作成済み。集荷はまだ依頼していない。
ここでは、次の回答が返ってきたと仮定します。
発送準備は完了しました。集荷を依頼済みです。
元のメモには集荷をまだ依頼していないとありますが、この回答では依頼済みになっています。
次の担当者が回答だけを見て作業を引き継ぐと、集荷の依頼が必要だと気づかないかもしれません。
完了したことと、残っていることを分ける
この場合、回答をもっと短くすることより、未着手の作業を完了済みにしないことが先です。
残っている作業が見えるよう、次のように修正を頼めます。
メモにある作業の状態を変えずに、完了したことと、まだ必要なことを分けてください。 集荷はまだ依頼していないことを明記してください。
修正後の教材例は、次のとおりです。
完了:梱包、送り状の作成。 これから必要:集荷の依頼。
元のメモと比べると、梱包と送り状が終わっていることに加え、集荷依頼が残っていることも分かります。
この例もAIの実測結果ではなく、確認と修正の考え方を示すための教材です。
実際の引き継ぎでは、元のメモが書かれた後に集荷依頼が完了していないかも、担当者に確認する必要があります。
清掃案内も引き継ぎメモも、回答の見た目ではなく、使う人に必要な事実が保たれているかを最初に確かめた点が共通しています。
足りなかった条件を、使う場面から考える
最初の依頼は短くても構いません。
ただし回答がずれた場合は、AIに伝わっていなかった条件がないかを、実際の用途に戻って探します。
読み手と目的を添える
たとえば、同じ清掃メモでも、開催者が自分用に保管する記録と、初めて参加する人への案内では、必要な情報が異なります。
記録なら決定事項を整理したいかもしれませんし、案内なら日時と参加方法がすぐ分かることが大切です。
そこで、依頼に次の一文を加えられます。
初めて参加する人が、いつ、どこへ行き、申し込みが必要かを判断できる案内にしてください。
これは特別な命令ではなく、誰が何を判断するための文章かを伝える補足です。
一方、読み手や目的を詳しく書いても、元のメモにない開催日を正確に作り出せるわけではありません。
必要な事実が資料にない場合は、確認できる人や資料に戻ります。
守ってほしいことは、資料とは別に書く
AIに任せる範囲と、変えてはいけない内容を分けると、依頼の意図を読み取りやすくできます。
以下のメモを、初めて参加する人への案内にしてください。 内容を追加したり、参加が必須であるかのように変えたりしないでください。 日時、場所、参加方法、軍手の情報を入れてください。
メモ: 清掃は土曜日の午前10時から公園で行う。 参加は自由で、事前申し込みは不要。 軍手は主催者が用意する。
それでも回答が条件を守っている保証はないので、完成した案内を使う前に、指定した条件を一つずつ照合しましょう。
修正の依頼は、対象を示して具体的にする
回答に問題があるとき、単にもっと良くしてと伝える方法もあります。
ただし、何を良くしたいのかをAIに委ねることになるため、直したい場所がすでに分かっているなら、その部分と直し方を示す方が、確認しやすくなります。
どの表現をどう変えたいかを示す
清掃案内の例なら、参加者は必ずお越しください、という部分を直したいと分かっています。
そこで、次のように対象を特定できます。
「参加者は必ずお越しください」は、参加が義務のように読めます。 参加が自由であることが分かる表現に直してください。 それ以外の情報も、元のメモと食い違っていないか確認してください。
引用符は、直したい原文の範囲を特定するために残しています。
この頼み方なら、修正後に該当箇所を見比べて、義務の印象がなくなったかを判断できます。
直した影響も確認する
一部分だけを直したつもりでも、回答全体が書き換わることがあります。
そのため、直してほしくない情報も伝えたうえで、修正した箇所だけでなく、残したい箇所も確認します。
特に、日時・金額・締切・参加条件などは、読み手の行動に影響するため、元資料との照合が欠かせません。
出力の形を決めると、確認しやすくなる
文章の内容だけでなく、どの形なら使いやすいかも依頼に含められます。
たとえば会議後のメモから、担当者と次の作業を確認したい場合を考えましょう。
チラシの原稿は佐藤さんが水曜日までに確認する。 会場の予約は未完了で、担当者はまだ決まっていない。
このメモを整理するときは、決まっていることと未確定のことが混ざらない形を指定します。
メモに書かれた作業を、作業・担当・期限の表に整理してください。 メモにある作業の状態は、作業名と一緒に残してください。 メモに未定とある項目は未定と書き、記載のない項目は推測せずメモに記載なしと書いてください。
教材として作成した表は次のとおりです。
| 作業 | 担当 | 期限 |
|---|---|---|
| チラシの原稿を確認する | 佐藤さん | 水曜日 |
| 会場を予約する(未完了) | 未定 | メモに記載なし |
表にすることで、会場予約の担当が未定で、期限はメモから分からないことを見比べられます。
ただし、表の見た目が整っていても内容の正確さは保証されません。
元のメモと照らして、未完了の作業が完了済みになっていないかも確認してください。
分からないことを埋めさせない
資料にない項目が必要な場合は、推測せずメモに記載なしと書くよう依頼できます。
メモに記載がないことと、実際に未定であることは同じではありません。
今回の担当者はメモに未定と書かれていますが、期限については未定とも書かれていないので、記載なしとします。
ただし、AIがそう書いたからといって、元の資料に本当に情報がなかったことまで保証されるわけではありません。
重要な判断に使う場合は、資料の該当箇所を人が見直し、必要なら担当者へ確認します。
例を見せるときは、まねしてほしい範囲を決める
出力の雰囲気や形を伝えるときは、短い見本を添える方法もあります。
たとえば、案内文を親しみやすくしたい場合、別の案内の書き方を見せ、文体だけ参考にするよう伝えられます。
次の見本のように、やわらかく簡潔な文体で清掃の案内を書いてください。 見本の日時や場所は使わず、案内に必要な事実は清掃メモだけを使ってください。
文体の見本: 週末の読書会を開きます。初めての方も、お気軽にご参加ください。
見本には読書会の情報が含まれるため、文体だけを参考にしてほしいことを明記しています。
見本を示した後も、回答に見本の内容が混ざっていないか確認しましょう。
長さを調整するときは、残す情報も決める
案内文を短くしたいときは、文字数だけを指定するのではなく、読み手が判断するために残す情報も一緒に伝えます。
たとえば先ほどの清掃案内を、掲示板の限られたスペースに載せる場面を考えましょう。
元の案内は次の文章です。
土曜日の午前10時から公園で清掃を行います。参加は自由で、事前申し込みは不要です。軍手は主催者が用意します。
この場面では、初めて見る人が参加方法を判断できるよう、日時・場所・参加の自由・申し込み不要を残すことにします。
軍手の用意も残せれば便利ですが、スペースに収まらない場合は、別の案内に載せるか主催者が判断します。
まずは、重要な情報を指定して短縮を頼めます。
掲示板向けに案内を短くしてください。 日時、場所、参加は自由であること、事前申し込みは不要であることは必ず残してください。 軍手の情報も入れられるなら残し、収まらない場合は省略したことを別に教えてください。 掲示板に載せる本文と、省略した情報を分けて示してください。
この依頼に対する回答の形として、編集部が作った教材例を見てみましょう。
土曜午前10時、公園で清掃します。参加自由・申し込み不要。軍手は主催者が用意します。
省略した情報:なし。
元の案内と比べると、曜日・時刻・場所・参加方法に加え、軍手の情報も残っています。
ただし、ここでは実際の掲示板の文字数制限を決めていないので、掲載できるとまでは判断できません。
ここでは、短さと情報の保持が必ず対立すると決めつけず、両方を満たせるかを先に確かめるよう依頼しています。
仮に掲示板に厳密な文字数制限があるなら、その数も条件に加えます。
AIが文字数制限を守ったと答えても、実際に掲載できるかは、掲載先の数え方で確認してください。
数字や句読点の扱い、改行を数えるかどうかが、掲載先によって異なることがあるためです。
省略を受け入れる前に、別の伝え方を考える
必要な情報が本当に収まらないときは、重要な条件を削る前に、掲載場所や伝え方を見直せます。
たとえば、掲示板には参加方法を載せ、軍手の用意は別に配る詳しい案内へ回す方法があります。
ただし、詳しい案内が読者に届かない場合は、そちらへ回した情報を読めない人もいます。
誰にどこまで届くかを確認してから、どこに何を書くかを決めましょう。
複数の案を比べるときは、違いを一つずつ見る
同じプロンプトでも、実行するたびに異なる回答が返ることがあります。
どの依頼が自分の作業に合うかを比べたいときは、元資料と確認する観点をそろえ、どこを変えたかを記録します。
元資料と判断基準をそろえる
清掃案内では、同じメモに対して、最初の依頼と、読み手・参加方法を指定した依頼を試せます。
違いを説明するため、ここでは二つの依頼と架空の回答を用意しました。
このメモを、参加者に送る短い案内にしてください。
土曜日の午前10時から公園で清掃を行います。参加者は必ずお越しください。軍手はこちらで用意します。
このメモを、初めて参加する人への短い案内にしてください。参加は自由で申し込み不要であることを入れ、日時、場所、軍手の情報を残してください。
土曜日の午前10時から公園で清掃を行います。参加は自由で、事前申し込みは不要です。軍手は主催者が用意します。
今回は、参加方法が正しく分かり、日時と場所が残っていることを確認基準にします。
回答Aは参加が必須のように読め、申し込み不要という情報もありません。
回答Bは、元メモにある参加の自由と申し込み不要を伝え、日時と場所も残しています。
この教材ではBのほうが今回の基準に合いますが、架空の回答は比較の方法を示すために作ったもので、どちらの依頼が実際に優れるかを測定した結果ではありません。
一回の結果だけで決めつけない
実際の作業では、同じ依頼を再実行して別の結果が出ることもあるため、一回の比較だけで常に優れた書き方と決めつけないようにします。
特に、資料の種類や目的が違えば、必要な条件も変わります。
たとえば、この案内を清掃スタッフ向けの作業メモに変えるなら、参加者向けの案内と同じ基準だけでは足りません。
今回何を比べ、どの条件で使えたかを残しておけば、次の用途に移ったときに確認し直せます。
依頼の変更と資料の変更を分ける
依頼の文面と資料を同時に変えると、結果の違いがどちらによるものか判断しにくくなります。
たとえば主催者から、清掃の開始時刻が午前11時へ変わったという連絡を受けた場合は、まず資料を更新し、新しい日時を依頼に渡します。
それ以前の回答は古い日時に基づくため、見た目が良くてもそのまま使えません。
時刻変更を反映した案内が必要なら、依頼を書き直すだけでなく、使う資料が最新かどうかも確認します。
何度も直すときは、条件を整理し直す
会話を続けていると、途中で追加した条件や、すでに不要になった指示が分かりにくくなることがあります。
修正を重ねてもずれが続く場合は、いったん最新の目的、元資料、守りたい条件をまとめ直すと、どの依頼を試しているのか追いやすくなります。
たとえば清掃案内なら、次の四つに整理できます。
- 目的:初参加の人に、開催と参加方法を伝える。
- 資料:日時、場所、参加の自由、申し込み不要、軍手の用意。
- 条件:資料にない内容を追加せず、参加を義務にしない。
- 形:短い案内文。
この整理を新しい依頼に使うと、以前の会話をそのまま引き継ぐ場合より、何を渡したかを確認しやすくなります。
ただし、会話を新しくすれば必ず精度が上がるという意味ではありません。
どちらの場合も、出力は資料と照合して判断します。
使えた依頼は、次回のために残す
修正を経て使いやすい依頼ができたら、完成した文章だけでなく、依頼と確認の観点も残しておくと便利です。
清掃案内であれば、参加の自由と申し込み不要を確認することが、次の案内づくりにも役立つかもしれません。
ただし、今回の日時や場所をテンプレートに固定すると、次回の案内で古い情報を使ってしまうおそれがあります。
再利用するときは、変わる情報を毎回入れ直し、前回の内容が残っていないか確認しましょう。
入れてはいけない情報にも注意する
業務の文章を扱う場合、個人情報や社外秘の情報をAIサービスに入力してよいかは、所属先のルールと利用するサービスの設定を確認してください。
確認できない情報を、便利さだけを理由に貼り付けるのは避けます。
練習するだけなら、実在する名前や内容を使わず、公開しても問題のない架空のデータに置き換える方法があります。
回答が使えるかを、小さな基準で確かめる
依頼を直しても、何をもって使えると判断するのかが曖昧だと、修正の終わりが見えにくくなります。
そこで、最初に使う場面に戻り、この回答を使う前に必ず確かめたいことを少数の基準にします。
案内文なら、読み手の次の行動を確かめる
清掃案内の例では、初めて参加する人が、いつ、どこへ行き、申し込みが必要かを判断できることが目的でした。
そのため、次の項目を満たしているかを確認できます。
- 日時と場所:土曜日の午前10時に公園で行うと書かれている。
- 参加方法:参加は自由で、申し込みは不要だと分かる。
- 資料との一致:主催者のメモにない条件が加わっていない。
これらは、今回の架空の案内に合わせた編集部の基準です。
別の案内では、持ち物や連絡先が必要なこともあるので、その場面に合わせて変えます。
一つの直し方で、別の問題を作っていないか
短くする過程で、たとえば次の案内になったとします。
土曜日の午前10時に公園で清掃します。参加者は申し込んでください。
日時と場所は残っていますが、元のメモでは申し込み不要でした。
そのため、短くなったことだけを理由に使うことはできません。
良くなった点と、まだ直すべき点を分けて確認すると、長さの問題を解決しながら、参加方法も元の情報に戻せます。
また、元のメモ自体が古い場合は、メモに一致した文章でも実際の開催条件と違う可能性があります。
その場合はAIに推測させるのではなく、主催者に最新情報を確認してから案内を直します。
判断できないときは、確認するまで使わない
資料に書かれていないことを確認せずに埋めると、もっともらしい案内でも読み手を間違った行動に導くおそれがあります。
開催日が変更されたか分からない場合などは、完成した文章を送る前に、その情報を知っている人へ確認します。
これは依頼を工夫することとは別の作業ですが、実際に使える回答へ仕上げるために大切です。
最後に、使う前のチェックをする
プロンプトを工夫しても、AIの回答が毎回正しくなるわけではありません。
特に、事実の取り違えや、元資料にない内容の追加は、読みやすい文章の中に紛れることがあります。
使う直前に、次の点を見直しましょう。
- 元資料:重要な事実や数字は一致しているか。
- 不足:読み手の判断に必要な情報が抜けていないか。
- 追加:資料にないことを事実のように書いていないか。
- 使い道:読み手と目的に合う形になっているか。
- 情報管理:入力や共有が許される情報だけを扱っているか。
確認しても判断できない部分は、そのまま使わず、資料や担当者に戻って確かめます。
最初から完璧な依頼を考えるよりも、回答のどこが使えないかを見つけ、必要な条件を伝え、元の情報と照合することが、改善の出発点です。
